コラム

第8回「立つ鳥跡を濁さず」
2020.06.23 齋藤敬一

少し古い話ではあるが、ゴーンさんの事件のように、経営者がいつか傲慢になることでお家騒動になることも多い。素晴らしい経営者であっても、途中からおかしくなることがままある。

会社経営は、経営者次第であるが故に、常に自分を戒めることが重要だ。しかし、人間は自分に厳しくすることは容易ではない。特に、経営者は成功すればするほど、周りがイエスマンになってくる。誰も叱ってくれない。

現在、「withコロナ」時代に入り、環境が大きく変化している。このような時は、会社の強みも弱みも浮き彫りになってくる。特に弱みについては、経営者個人の弱みが反映しているケースが多い。そこで今回は、経営者を戒める哲学の話をしたい。

「立つ鳥跡を濁さず」

辞書には「立ち去る者は、見苦しくないようきれいに始末をしていくべきという戒め」「引き際は美しくあるべきだということ」と、ある。

経営者個人や同族の弱みが一番出てしまうのが、事業承継のプロセスである。故にそれを引き合いに出すことにする。

コロナによって目の前に明らかになった会社の弱みは、まさに経営者自身を映している。その弱みや問題が一番出てくるのが事業承継の場面なので、今から、経営者自身の癖などをよく見つめることが重要だ。

事業承継で一番みっともないのは、個人の資産と会社の資産をごっちゃにしていること。そして、それを親族同士が奪い合う。誰が見てもみっともない話だが、相続も絡むので事業承継は人間のエゴが丸出しになることもしばしばある。

まるで、「後は野となれ山となれ」の如く、目の前のお金だけで喧嘩になる同族法人も少なくない。

では、どうしてそうなるのか。それは、人間のエゴの感情がそうさせるのだ。エゴは、心を揺り動かす。そして、保身の際に最もよく顕れる。これを好き放題にさせては大変なことになる。

では、エゴは管理可能なのだろうか? そのヒントを書いてみたい。

人は、「心」(mind)、「魂」(soul)、「霊」(spirit)を持っている。自分が、どの領域で判断を下そうとしているのか、どの領域で話をしているのかを区別して生きられるようになると間違いは少なくなる。つまり、エゴの影響を受けにくくなるのである。

理屈で言うよりも事例を見た方が分かりやすいので紹介したい。

それを体現している素晴らしい経営者がいる。その方は、日本だけでなく中国にもファンが沢山いる稲盛和夫さんだ。

※盛和塾では、中国の経営者も稲盛哲学を必死で学んでいる。稲盛さんの本もベストセラーで、非常にファンが多い。世界に通用する経営哲学は、我々も大いに学ぶ必要があるだろう。

以下、2007年に東証で行った上場企業の経営者向け講演の様子を、日経ビジネスが記事にしているので是非目を通して欲しい。

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/00124/00016/?P=1

『あんた、花してはりまんの? わて、河合してまんね』のくだりで、稲盛さんの胸中は、スピリットの世界に昇華していたと感じた次第である。

僕は、日本学ユニバーシティで、この学びを深めている。もし、自分の心の状態、そして、相手の心の状態を区別して見ることができたら如何だろうか!? 取引先や顧客と気脈を通じさせることができたらどうだろうか!? もっと、かけがいの無い関係が構築できるのではないだろうか。

一緒に学びたい方は、下記のリンクを確認してください。紹介者が必要なので私からご紹介いたします。

https://www.facebook.com/groups/568506933861149/